電車内でのケンカ、病院で「いつまで待たせるんだ!」とキレる、飲食店で店員に大声で怒鳴る、こういったことは中高年が多い気がします。
政治家もキレて後に謝罪なんてこともありますよね。
実際はどうなのか調べてみたところ、中高年は暴行事件が多いということが分かりました。
中高年がキレやすいということは気のせいではないようです。
そもそも、なぜ感情を制御できずキレてしまう人がいるのでしょうか?脳のメカニズムから具体的な対策まで要チェック
中高年がキレる理由
僕が読んだ本の中で解説されていた内容
現在の中高年は社会に入った頃、終身雇用制度の中で年功序列の日々を味わった。
大して仕事が出来るわけではない先輩の言うことに従い、将来は自分達が報われるのだという思いで先輩の課す理不尽にも耐えサービス残業などもこなしていた。
しかし、その先輩が定年で退職する中日本の経済状況は悪化し、年功序列の制度は崩壊した。
傷つきやすい若者のために細心の注意を払うなど気を使うなど、少しも楽にならない。
むしろIT化などで若者世代からはバカにされ、理不尽感不公平感を抱いている。
そのような想いが感情労働において弱い立場に向かっているのだ。
反抗期の10代よりも中高年の方がキレたり暴力行為が多いということはこういった背景もあるのだろうなぁとは感じますね。
個人的には、中高年でキレるようなタイプの人は頭が固い人が多いと感じます。
「自分は絶対間違ってない!」という感じの頑固タイプが多いから、ちょっとしたことが許せないのかなとは思います。
中高年の暴行行為が急増している
※平成25年犯罪情勢より暴行の年齢別検挙人員
①2013年の暴行検挙者数は40~49歳が最も多く、2004年と2013年で比較した場合の伸び率も高くなっている。
②平成28年7月にJR東日本が公表した「鉄道係員に対する暴力行為の件数・発生状況について」というレポートより
平成26年と27年を比較し、50代、60代の加害者が増加傾向で事件の6割が40代以上という結果も出ていました。
やはり中高年がキレやすいという傾向にはあるようです。
さらに調べてみたら、どうやら脳に原因があることも示されていました。
キレやすい人の原因は脳にあった
扁桃体
脳の中で怒りに密接に関わるのは大脳辺縁系の中の扁桃体と呼ばれる部位で、恐怖・不安・緊張などに反応するところです。
睡眠不足によって扁桃体は過剰反応し、扁桃体の活動を抑制する役割である前頭前野の活動が抑制されることが分かっています。
一日中パソコンやスマホと向き合い身体を動かさずに頭だけフル回転している状態が続くと心の安定や安らぎに関与するセロトニンが低下し、強いストレス状態に陥りやすくなります。
※(脳生理学者 有田秀穂 医師) 脳内物質研究の第一人者
キレやすい人の特徴
①前頭前野が未発達
キレやすい人の大きな特徴として、前頭前野が未発達もしくは不活性であることが指摘されています。
前頭前野の働き
前頭前野は、ものごと全体を把握して欲望や感情を抑える働きをしています。
通常、頭にくることがあっても“ここは大人の対応をしておこう”と判断している部分になります。
前頭前野は10代の最後まで発達を続ける部位ですが、使わなければ発達しない部位でもあります。
つまり、幼少期に我慢や怒りの抑制をする機会が少なかった場合は前頭前野の発育が弱いまま大人になってしまうわけですね。
ちなみに大人になってからは発達せず、高齢化に伴って前頭葉が委縮したり機能が低下することでキレやすくなる場合もあります。
キレる老人が増える理由は説明がつきますね。
※(聖路加国際病院精神腫瘍科部長 保坂隆)
※(脳科学コメンテーター 黒川伊保子)
②セロトニン欠乏
セロトニンは脳の神経伝達物質であり、前頭前野の機能をスムーズに動かすために必要な物質です。
セロトニンを分泌させるセロトニン神経は脳の中心にある脳幹のさらに中央にある縫線核という部位にあります。
疲労・ストレス・夜型生活・運動不足・コミュニケーション不足などでセロトニン神経の働きが弱まってしまうことが分かっています。
現代は、スマホやパソコンが普及した影響でセロトニン神経の働きが弱まりやすい要素が多くなっているとのこと。
※(東邦大学名誉教授 有田 秀穂医師)
③甘いものの食べ過ぎ
血糖値が乱高下しやすい状況では人はキレやすくなります。
脳のエネルギーはブドウ糖であり、消化器官から脳に糖を届けるためには空腹時でも血糖値が80くらいはないと脳が正常に働かない。
(ちなみに血糖値は40まで下がると意識混濁状態に陥り、これが続くと脳死に至る危険な状態)
血糖値が80を下回ると脳は不安になってくるため、血糖値を上げるホルモンを分泌する働きがあります。
そのホルモンの中にはアドレナリンが含まれているので、興奮して攻撃的になりやすくなってしまいます。
血糖値が乱高下しやすい条件
空腹時に甘いもの・炭水化物を食べると血糖値が急上昇する。
血糖値を下げるために膵臓からインスリンが過剰分泌され、急激に上昇した血糖を下げる。結果、低血糖に陥る。
※(脳科学コメンテーター 黒川伊保子)
血糖値が上がりにくい食べ方
①野菜から食べる
1日3食の食事時であれば、野菜から食べると血糖値の上昇が緩やかになると報告されています。
これは糖尿病患者であっても健常者でも同様なので、いきなり炭水化物から食事を始めないように心がけることが必要です。
②ゆっくり食べる
単純な話で、早食いをしてしまうと身体の中に一気に食べものが入ってくるので血糖値が急上昇しやすいのです。
野菜から食べたとしても、早食いをすると血糖値は上昇しやすくなると言えます。
早食いを避けるために、よく噛んで食べることが有効になります。
③糖質を摂りすぎない!
いかに野菜から食べ、ゆっくり良く噛んで食事をしても糖質を摂りすぎていたら血糖値は上がりやすくなるので量にも注意が必要です。
怒りを鎮めるための超具体的方法
あなただけにそっと教える、怒りを鎮めるための超具体的な方法
①ガムを噛んでリラックス(咀嚼運動)
頭に血が上った時、即効性のある対策としては「咀嚼運動」が効果的
ストレスを受けると脳内に不安緊張物質のノルアドレナリンが活発に分泌される。
マウスの実験では、棒をグーッと噛ませるとノルアドレナリンが低下することが分かっています。
人間も同様にハンカチをグーッと奥歯で噛みしめたりガムを噛むことで効果があります。
※(日本メンタル再生研究所所長 山本潤一)
②怒りを吐き出す
不安や怒りを吐き出すことで怒りを鎮める方法です。
口で怒りを表出することが有効となりますが、なかなか人には言いにくい場合もありますよね。
そんな時は、トイレなどの個室で独り言をつぶやいているだけでも効果があります。
※(日本メンタル再生研究所所長 山本潤一)
③怒りを書きだす
書くことで自分自身を客観的にみつめる方法です。
感情を整理した言葉にして気持ちを落ち着かせるとかなり怒りをコントロールできます。
(早稲田大学研究戦略センター教授 枝川義邦 )
④スキンシップを取り入れる
怒りの状況を鎮めるためにはオキシトシンを分泌させると良いとされています。
方法:グルーミング
サルの世界でいう毛づくろいにあたる行為をいいます。
人間の場合は親子・夫婦・恋人同士などで会話をしたりスキンシップを図ることでオキシトシンの分泌をさせることができる。
エステやマッサージも有効です。
※(脳生理学者 有田秀穂 医師) 脳内物質研究の第一人者
⑤セロトニン分泌を増やす
太陽の光を浴びる、歩く・走るなどリズム運動、グルーミングを行うとセロトニン神経が活性化する。
朝しっかり日の光を浴びてウォーキングをしたり、人と会話する生活をしていた方がセロトニンが正常に分泌されるようになる。
※(脳生理学者 有田秀穂 医師) 脳内物質研究の第一人者
⑥マインドフルネスを取り入れる
とりあえず一度、深く深呼吸をしましょう。
とにかく、その場で怒りを爆発させずに深呼吸して一呼吸おいてみましょう。
話はそれからです。深呼吸をしているだけでも、気持ちが落ち着いてきます。
まとめ
社会人になってキレてしまうと、パワハラで訴えられてしまったり暴力を行使した場合は犯罪行為になってしまいます。
いい大人が感情をコントロールできないということは、自ら未熟な人間だと言っているようなものです。
効果的に怒りをコントロールして穏やかに生きていきたいものですね。