書評 一瞬で好かれる初対面の技術【2008】
以前、人は見た目が9割という本が話題になった。
実際、外見から内面も判断できるというより、「外見から内面も判断されてしまう」ことが多いと感じている。
そして、初対面の印象はかなり重要だということを心理学系の本で読んだことがあった僕は、それにピッタリの本を探したところ 見つかりました!
著者
谷澤 史子
イメージコンサルタント、カラーアナリスト。
イメージ戦略、カラー分析、マナー指導を組み合わせた独自メソッドでビジネスパーソン・企業家・政治家など幅広い顧客のコンサルティングを手掛けている。
書評
本書には、自分自身をうまく演出し、好印象を作ることはコツさえつかめれば簡単だと書かれている。
なんといってもイメージコンサルタントという「その人の魅力を最大限に引き出すプロ」が書いた書籍であるため、説得力がある。
今まで読んできた心理学の研究からも、初対面の印象はかなり尾を引くという結果が出ている。
さらに言うと、第三印象までにだいたいのイメージは固定化されてしまい、そこからの印象の巻き返しは難しくなってしまうとのこと。
いかに初対面で好印象を得ることの重要性がうかがえるデータだ。
本書の特徴は、「服装」「しぐさ」「話し方」「表情」を中心として、それぞれの好印象を作るポイントを分かりやすく解説されているところ。
日常の人間関係において印象を良くする方法と、逆に悪くする方法も数多く紹介されている。
また、様々なビジネスシーンでの、ありがちなダメ行動や、知らず知らずにしていた残念行動が印象を悪くしていることを指摘していた。
そもそも自分自身の魅力を最大限に引き出すため、印象を良くするには、何がその要素になっているかを知ることが大事だと感じた。
僕自身も、やってしまっていたことが多々あり、これがダメな原因だったのかもと反省する機会になった。
どんな仕事をしているにせよ、相手に好意をもってもらった方が断然有利なのは間違いない。
印象が良くなるだけでも多くのチャンスに恵まれ、より良い仕事ができる可能性が増えると考えたら、印象を戦略的に良くすることは必要なことだ。
特に、就職活動をする方、サービス業の方、営業の方は読んでおくと勉強になるだろう。
印象に残った部分・感想
①7秒で好印象を得る方法
人が初対面で相手を判断する基準
「視覚」55%
「聴覚」38%
「話の内容」7%
7秒だから7%なのかもしれないが、個人的には、話の内容が7%ということが衝撃だった。
初対面で人が相手を判断する時間はたったの「7秒」と言われている。
7秒とはあまりにも短く、あっと言う間だ。見た目が大きな要素を占めるのは当然だろう。
この一瞬とも思える時間で形成される印象で重要になる要素は
ノンバーバルコミュニケーション(言語を用いない)
人は言語を介さなくてもコミュニケーションをとっているということ。
つまり「何を話すか」ということよりも「見た目」「話し方」がポイントになってくる。
いちばん大きな要素である視覚で考えてみると、服装をキレイにしておくということは大前提として省略。
服装意外で、具体的には、「目」が重要だと言う。
作り笑顔を作っていても、目が笑っていないと印象は良くならない。
人は、興味があるものや好きなものを見ている時には、瞳孔が開き、目が輝くようになっている。
印象の良い目にするためには、「初対面の人を好きな人だと思い込むこと」がポイントとなる。
心から相手を想い、好感を抱くことで感じの良い見た目が作り上げられるのだという。
表面上だけキレイに着飾るだけのではなく『ハート』がいかに大切かということを物語っている。
②2種類の笑顔で好印象
笑顔には「この人は敵ではない」「好意的に話を聞いてくれそうだ」と感じさせるサインを一瞬で送ることができる特徴がある。
しかし、笑おうと意識すると、緊張して笑えなかったり、堅い作り笑顔になってしまうことはあるだろう。
そんな方は、次のような意識をもつと良いという
【目をいつもよりも見開いて相手をまぶしそうに見ると、瞳がキラキラと見えます。そして口元は口角を上げ、今にも「こんにちは、お目にかかれて嬉しいです」と言わんばかりの形にしましょう】
これでインパクトのある笑顔がつくれる。これを歓迎の笑顔という。
この一瞬の笑顔で、まずは自分から心を開いて見せることができる。ただし、長々と笑顔を作っていると「ヘラヘラしている」と思われるので注意。
受容の笑顔
お互いに着席し、商談に移った場合は、受容の笑顔に切り替える。
これは「あなたの話を快く聞いています」というメッセージになる。
ポイント
1、歯を見せると、何か話したいのでは?と思われるので、口は閉じる
2、口角は片方だけ上がっていると嫌な印象になるため、両方の口角を上げる
3、相手の目を見ることは必要だが、相手の目をじーっと見すぎない。
加えて①でも紹介したように心から「嬉しい」「楽しい」と思うことが重要。
それにより、心からのステキな笑顔を向けられた相手は、居心地が良くなり、好意をもってもらいやすくなるとのこと。
まれに、ずっと無愛想・無表情な方にお会いすることがある。
相手が笑顔になってくれないからといって、自分も笑顔を作らないというのはナンセンスだと感じた。
自分自身から笑顔を作ることで、相手に好意はちゃんと伝わることと思う。
③礼儀正しいのに記憶に残らない人の特徴
誤った言葉づかいや振る舞いがなく、状況にふさわしい立ち居振る舞いができることは素晴らしいことだ。
機械的に丁寧すぎる対応をされたときにも、なんだか冷たい印象を持ったことはないだろうか。
マニュアルを完璧にこなすだけでは、特に印象に残らないということが起こるのだという。
著者は、「自分をキレイに魅せる」ことがマナーではなく、「相手にリラックスしてもらえる空気を作るのがマナー上手」という。
【「失礼のないように」と自分をマナー上手の仮面で固めているだけの「自分をキレイに見せるためのマナー」です】
「失礼のないように」→「相手にリラックスしてもらうように」・「一緒に心地よい空間、時間を過ごすために」へと考えを変えると良い。
つまり、どんなに正しく敬語が使えようがキレイにお辞儀ができようが、自分をキレイに見せることばかり考えていたら魅力が伝わらないということ。
僕は歯科を何ヶ所も転々と変えていたが、ある日かなり砕けたコミュニケーションのとり方をされる先生に出会った。
その歯科には今でもずっと通っている。
今までは丁寧な言葉で説明してくれる歯科ばかりだったものの、どうも冷たいと感じることが多かった。
その点、今の歯科は心地よい空間を作りだしてくれる先生が担当してくれている。
それだけでそこに通いたくなるという経験は誰しもあるのではないだろうか。
見た目での印象作りはもちろんのこと、その方が醸し出す雰囲気な重要な要素になりそうだ。
まとめのひとこと
それぞれが持っている素材が、いかに良かったとしても扱い方によって良くも悪くも変化してしまう。
その点は、料理に似ていると感じました。
飲食店なら、店先のディスプレイや写真の見た目が美味しそうでなければ、お店に入ってもらうことすらできなくなることでしょう。
そういった意味で、内面の魅力が素晴らしく輝いている人だとしても、第一印象が悪くなると、せっかくの持ち味を発揮する機会すら失われる。
そんなもったいない話がありますか?
人のふり見て我がふり直せと言いますが、自分自身のダメ行動は案外気が付いていないことが多いものです。
社会に出ると、新人でもない限り、あまり指摘してもらえなくなるものだと思います。
本書を読んだことで自身の行動を見つめなおす良い機会になりました。
どうせなら、自分自身の良さを存分に発揮し、最高の好印象を得られるようにしたいものですね!