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書評

稲垣えみ子 魂の退社 書評 会社を辞めるか悩んでいる人必見!

投稿日:2018年10月9日 更新日:

どうも無類の読書好き、ぴこイチです

 

以前、異常なミニマリスト生活をしていることを紹介した稲垣えみ子さんの著書を読んだので、書評という名の感想を。

 

稲垣えみ子の異常なミニマリスト生活と電気を使わない暮らしのメリット・デメリット

先日、あさイチを観ていたところ、アフロ記者でおなじみの稲垣えみ子さんが5年前から実践している「ミニマリストライフ」を紹介していました。   近年ミニマリストという言葉をよく聞くようになりまし ...

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やっぱり記者だけあって、文章がうまいね。内容も文章も読みやすいうえ面白かった。

 

 著者 稲垣えみ子プロフィール

 

1965年、愛知県生まれ独身。一橋大学社会学部卒。朝日新聞社入社。大阪本社社会部デスク、週刊朝日編集部などを経て論説委員をつとめ、編集委員として書いた「電気をほとんど生活」コラムが話題になる。

 

特に大きな目的もなく50歳で朝日新聞社を早期退職し、ミニマリスト生活に臨んでいる。

 

アフロのきっかけ

 

一応ね、これ気になっている人のために書いておく。

 

きっかけは、仕事関係の懇親会でスナックへ行った際に被ったアフロのかつらが似合ったこと。ここでアフロ、ありかも......と悪魔がささやいたそうだ。

 

やめさせようとしてくれた美容師を説得し見事にアフロになったとさ。この時点で一般人の感覚からかなり外れた行動も気にならない人だということが分かる。

 

ちなみにアフロにしてから、すごくモテるようになったそうだ。

不思議なもんだねぇ。

 

退社のきっかけ

稲垣えみ子 書評

50歳夫なし、子なし、大企業である朝日新聞社を28年間勤めてから辞めた。

 

このまま会社にいた方が、「おいしい」には違いないが、その「おいしいこと」から逃げ出したくなって退職を決意したとのこと。

 

終身雇用の時代が終わったとはいえ、会社を辞めることを躊躇する人は大勢いる。そんな中自らの意思で退社して生活をしている彼女の行動と説得力はすごい。

 

そして、さらに背中を押すように、こんなことも言っていた。

 

①1つだけ言っておきたいのは「意外に何とかなる(んじやないか)」ということだ

 

真面目に頑張ったからその分何かが返ってくるかというと、そんなことはないのである。そしてそのことに私たちは傷つき、不安になり、また頑張らねばと思い返す。そして、その繰り返しのうちに人生は終わっていくのではないかと思うと、そのこともまた恐ろしいのである。

しかし、もしや幸せとは努力したその先にあるのではなくて、意外とそのへんにただ転がっているものなんじゃないか?そう思ったら、会社を辞めるって、意外にそれほど怖いことじゃないんじゃないかと思えてきたのである。

という理由で、実際に辞めちゃったわけですが、そしてその結果何が起きたかは本編を読んでいくと分かるようになっている。

 

実際に退社したことによって起こった心境の変化などを赤裸々に語ってくれている。

 

②「おいしい」は恐ろしい

 

例えばおいしい食べ物、寿司やステーキやヶーキを毎日食べ続けていたらどうなるか。確実に健康を害して早死にするであろう。しかし、いったんこういうおいしい食べ物にはまってしまうと、なかなかそこから抜け出せなくなる。なぜなら、大きい幸せは小さな幸せを見えなくするからだ。知らず知らずのうちに、大きい幸せじゃなければ幸せを感じられない身体になってしまう。

 

仕事も同じである。高い給料、恵まれた立場に慣れきってしまうと、そこから離れることがどんどん難しくなる。そればかりか「もっともっと」と要求し、さらに恐ろしいのは、その境遇が少しでも損なわれることに恐怖や怒りを覚え始める。その結果どうなるか。自由な精神はどんどん失われ、恐怖と不安に人生を支配されかねない。

つまり、「おいしいこと」から逃げ出さねばならないという考えに至ったということ。

 

③会社員を辞めるということ

 

会社員ゆえにできたこともたくさんあったけれど、できなかったこと、我慢してきたこともたくさんあるのです。

別の仕事だって色々チャンジしてみたい。農業とか、料理人とか、大工だってしてみたいのです。そう考えてみるとどんどん夢が広がります。

 

会社を辞めれば私、何をするのも何を名乗るのも自由です。ミユージシャンだって、アーティストだって、カメラマンにだってなれますよ!あくまで「自称」ですけどそれがどうしたと開き直ればいいだけのこと。別にそれで食べていけなくたっていい。自分が納得していさえすれば。

 

「もしかして日本人のサラリーマン、給料という名の「麻薬」を撃たれ続け、それなしじゃ生きられなくなっちゃってるんじゃない?ちょっと何か弱っちくない?」

 

考え方のチェンジ・きっかけ

稲垣えみ子 アフロ

金遣いが荒かった過去

好きな洋服は買いたい放題。月に一度はお気に入りの洋服屋さんへ行って山盛りの洋服やら靴やらを片っ端から試着し、ダーッと何点も買うのです。

化粧品もやたらと高いものを買っていました。雑誌などで「これがいい」と紹介されるとすぐに試してみたくなり、気づけばどんどんランクの高い化粧品に手を出しているのです。

で、いったん高いものを買ってしまうと安いものではたちまち肌が衰えるような気がして元に戻れなくなる。さらに10日に一度は大枚はたいてエステ通いまでしていた。食べることにも貪欲でした。夜遅い仕事なので毎晚のように同僚と外食。

 

仕事のストレスが多い分、情報誌などでおいしい店の情報を常にチェックし食べ歩く。太らないようにスポーツクラブへまめに通う費用もこれまた惜しみなく使ってた。出張では惜しみなく差額を払ってグリーン車を使い、常に「ワンランク上」を目指していた

 

子どもの頃に買ってもらえなかったものを自分で稼いだお金で次々と買えることがプライドだった。夢を実現していたつもりだったが、も満足することはなかった。欲望全開の暮らしをしていた私が人生の折り返し地点に立ち、リアルな老後を想像してみたわけです。

 

収入の激減という現実を前に、欲しい服も靴も買えず、優雅な旅行にも行けず、ごちそうもガマンする生活。贅沢に楽しんでいるからこそ、将来はちょっとその贅沢が楽しめなくなったからといって勝手に惨めな思いに囚われて死んでいく未来に危機を感じたため。

 

②地方転勤

ある時、地方に転勤になったことでお金を使わない生活にシフトしていった。

 

遊ぶ時間はおろか、外食する時間もないほど仕事がいそがしく、日付が変わってから帰宅することも珍しくない環境だったためだ。

 

結果、お金を使う機会が激減した。

休日の生活はというと

 

疲れ気味の地方都市では、都会で何年も金満生活を送っていた私が「買いたい」と思うものはそれほど多くはないのであった。都会ふうの店、都会ふうのレストランというのは、やっばり都会そのものではないのである。

要するにですね、それまでの「金满生活による幸福の追求」を諦めざるをえなかったのであった。

こういった考えや機会が重なったことから、「お金がなくてもハッピーなライフスタイルの確立」を目指して行動を変えていくことになったとのこと。

 

リアルに老後の生活をイメージできたからこそ、大胆な意識改革と行動が起こせたということだろう。

 

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節電&ミニマリストへ

稲垣氏と言えば、ブログ記事にもさせてもらったが異常なほどの節電生活をされていることが話題になった。

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そのきっかけは東日本大震災にある。

 

東日本大震災後に自分にできることを懸命に考えた結果、取り組み始めたことが「節電」

原発はないものとして、これまでの半分の電気で暮らしてみようと。もしみんながそういう暮らしをすることができるのならば、自動的に「原発はいらない」ということになる。

 

そして「電気はない」という前提で暮らすことになった。

電気がない前提の大変な暮らし

 

①夜帰宅した際は、まずは玄関にしばらくじっとして、暗闇に目が慣れるのを待つ。

 

②テレビはつけない。

 

この行動により

 

暗闇と静けさが出現する。これが実に心落ち着くんですね。暗いから五感も鋭敏になります。家の中に音がないので、窓の外から風の音や虫の鳴き声が聞こえてきます。これはかなり風流です。つまり何かをなくすと、そこには何もなくなるんじゃなくて、別の世界が立ち現れる。

③できるだけ家電を使わない

 

電子レンジ、扇風機、こたつ、ホットカーペット、電気毛布……。どれも「あったら便利」あるいは「なきゃやっていけない」と思っていたんですが、まあ驚くことに、なきゃないで、不便でも何でもなかったんです。

 

電子レンジはご飯やおかずを温める程度にしか使っていなかったので、蒸し器で代用。こたつやホットカーペットの代わりは「湯たんぽ」。一ヶ所に縛られて動けないこたつより良い。

 

極めつきが冷蔵庫でした。冬は家の中が冷蔵庫みたいなものなので食材は家の中か、ベランダに置けば十分保存できました。

夏が近づくとすぐカビてしまうため基本的に、その日に買つたものはその日に使いきることを迫られたのです。

 

つまりですね、少し考えたり工夫したりすれば、まつたく何とかなるどころか、むしろ別のものを使った方がはるかに快適だったり面白かったりする

わけです。

うん、やっぱり普通の人にはマネできない生活には違いない。

 

●まとめ●

 

テレビで異常な節電生活をしている姿を見た時は、完全に振り切っちゃった変な人にしか見えなかったけれど、本書を読んでみたら誤解だったと判明した。反省。

 

本書は、社会人が会社に勤めて仕事をするとは、どういうことなのかを丁寧に説明してくれている。

 

そして、定年まで会社勤めをした方が良い状況で退職すると、どのような事態に陥るのか。その辺りのことがリアルに語られている。

 

稲垣氏は、かなり変わった感性の個性的な人には違いないが、節電生活にしてもミニマリスト生活に固執して行っているわけではなかった。

 

無職になってから、住宅契約やクレジットカード作成が難しい現実を思い知らされたりもしていたが、無計画に突発的なことをする人ではないようだ。

 

今後の人生、会社に依存していくか、独立するか、正解は無いように思う。自分自身がどのような人生にしていきたいかを考えたうえで決断するべき事柄だ。

 

人生における重大な判断をするための材料として、本書は役に立つだろう。

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