魔法のコンパス 道なき道の歩き方 書評
「ドキドキしてる?」「ドキドキしようぜ!」がキメ台詞でおなじみ好感度低い炎上絵本作家西野さん
この度、人生の指南書として「道なき道の歩き方」を書籍化してくださったということで読んでみましたよ。
10万部売れたという情報を聞いて、本当に良いコンテンツだから売れているのか、売り方がウマいだけなのかを確かめるためにも読んでみました(笑)
炎上絵本作家キングコング西野亮廣
1999年にキングコングを結成。その後、4冊の絵本を執筆、ソロでのトークライブや舞台の脚本執筆、海外での個展・ライブ活動も行っている。
2016年には株式会社クラウドワークスのデタラメ顧問に就任。
その他、「街づくり」や「世界一楽しい学校づくり」など未来を見据えたエンタメを生み出して注目を集めている。
芸人辞めます宣言をしたり、絵本を描いてみたり、何かと話題のキングコング西野さん。
僕は西野さんの性格は好きではありませんが、やっていること・考え方自体はすごいと思っています。
好きでも嫌いでもない中立の立場で、色眼鏡を通さずに純粋に思ったレビューを書きます。
結果
最近、読んだビジネス・自己啓発系の本の中では圧倒的に面白かったです。
物事を広くとらえ、普段から様々なことに対し疑問をもち、ビジネスに繋げていくところは純粋にスゴい。
彼がどのように物事を考えて様々なエンタメを作り出し、どこに向かっているのか。そういったことがよくわかる面白い書籍でした。
キングコング西野さん、やっていること自体はステキです。
印象に残った「道なき道の歩き方」
①大切なのは問いを持つこと
日常に転がっているあらゆることに疑問をもつことが大切になる。
【ときどき「生きづらい世の中だ」と嘆いている人を見ると、羨ましくて仕方がない。「なぜ生きづらいのか?」「それを改善するためにはどうしたらいいのか?」といった「問い」に囲まれているわけだ。天然でボーナスステージに立ってんじゃん】
よく企業における問題を洗い出したり、改善案を考える際に「なぜ?」を5回くりかえる方法がとられることがあります。
このように、日常生活においても問題を意識するほか、何気ないことにもアンテナを張ってみることが大事。
あるお店に関して考えてみても
何であの店は、あんな感じが悪いのに繁盛しているのだろうか。
何であの店は、いつもお客さんが入っていないのに潰れないのだろうか。
考え出したら、キリがないほど出てきます。
西野さんは、テレビでも言っていましたが、ひな壇芸人としての限界を感じたから「もうひな壇には出ない」と決めました。
これも、ひな壇で光る芸人がどういう要素を持っているのかというところまで考えたからこそ出せたのではないだろうか。
問いを持つクセを身につけなければ面白いことは何ひとつ始まらないというのは、その通りですね。
②問いが見つかったらヨットのように進む
ヨットは風を利用することで、追い風も向かい風も前に進む力に変えていける。
人生で考えた際には、ヨットは自分自身、風はその時の状況に置き換えられる。
ここでいう向かい風とは、頭が悪い・貧乏など。多くの人は嫌なことを消そうとするけれど、消してしまうと風が無くなる。
無風状態は自力で手漕ぎをしなければいけないので、一番やっかい。
自分にとって、向かい風だと思っていたことも、自分自身がどのように扱うかによって前に進む力に変えていける。
【向かい風も追い風という感覚は常に持っておいた方がいい。それだけで、自分がどこに力を入れたらよいか、が明確になってくる】
③勝てるところで勝つ
通知表でいうとオール3の状態は社会に出た時に一番マズイ。
社会に出ると、仕事は分業で回るから、得意な部分を伸ばした方が競争社会に勝ち抜きやすくなる。
つまり、得意な部分を5にする努力をして、ニガテな部分は1のままでも良いということなる。
【10点ぐらいの能力を60点に伸ばしたところで、プロの世界の60点は需要に繋がらない。需要がなければ0点と一緒だ。】
実際、競争社会において引き抜かれるのは「5」の能力を持つ人が多いわけで、「1~4」はゼロと同じという考え方。
結構、極端な意見だと思うけれど、的を射ていると感じます。
僕は「平均的に良い」というオール「4」を目指していたタイプだったので、この話を小学生くらいの時に聞いていたら人生が大きく変わっていたかもしれない。
本当に努力をして力を注ぐ部分を見極めることが成功に結び付くということですね。
この意見は、よくビジネス書には書いてありますが、林修先生も著書の中で同じようなことをおっしゃっています。
実際に、大成功を収めた方には、このようなタイプが多いようです。
さかなクンもいい例ですね。
④プロに勝っているところはどこだろうと考える
西野さんは、元芸人。その彼が絵本を描くきっかけになったのはタモリさんの「お前は絵を描け」という一言からでした。
25歳当時、全然絵に興味がなく勉強もしたことがなかったものの、物語を書くことが好きというところに目をつけて絵本を作ることを始める。
作るからにはプロに勝たなきゃ意味がない
こう考えた時、素人がプロに勝っているところは何か
それは唯一「時間」だけは買っていることに気が付いたという。
本業で絵本作家をしていないため、短いスパンでコンスタントに仕事をしなければならないわけではない。
ここがプロに勝っているところと感じ、徹底的に時間をかけて作業をしていったに西野さん。
結果、通常の絵本は20ページほどのところ、西野さんが最初に作った「Dr.インクの星空キネマ」は152ページ。製作期間は4年半という大作となった。
時間さえかければ良質なコンテンツが作成できるかというとそうではないけれど、圧倒的に質が高めやすくはなりますね。
まさに目から鱗。ぶっ飛んでるなと思いつつ、ものすごく参考にしたい考え方です。
⑤道なき道を歩く西野の名言「ドキドキしてる?」
【あなたが何かに挑戦し、結果が出ずにじたばたしている時、外野にいる連中は、『迷走してるの?』と、あなたのことを笑うだろう。大丈夫。きっとうまくいくよ、コケたら起き上がればいい。踏み出そう。ドキドキしてる?】
感想
定期的に炎上している西野さんは、わざと炎上させているのではないか。
前から思っていたけれど、本書を読んでみて確信に変わりました。
彼は、わざと自分自身の好感度を下げるような発言を繰り返して「アンチ西野」を量産しているのです。
アンチの活動は、西野さんの活動の認知度を高める結果になるうえ、強い向かい風を生む。
渋谷ハロウィンの掃除にしたって「西野が掃除する前にキレイにしておこう」というアンチの嫌がらせが、結果的には西野さんを注目させ輝かせています。
【「昨日から今日を指している矢印の角度」こそが幸福度。10点から40点に伸びたら「幸せだなぁ」と思えるけれど、95点から96点に伸びたところで、さほど幸せは感じられない】
この発言からも、わざと「西野のクセに」「芸人のクセに」と自己評価をさげておいて圧倒的なクオリティを提供して驚かせるというスタイルなのだと感じる。
叩かれ過ぎて消えていく可能性もあったと思うけれど、ものすごく頭を使って色んな仕掛けをしてきたからこそ「ウォルト・ディズニーを超える」という発言も現実味を帯びてきていると思います。
先日「ウォルト・ディズニーの背中が見えてきた」と言っていました。
ファンを罵倒したり、問題発言も多い西野さんですが、その活動・考え方自体は素晴らしいということを改めて感じました。
本書を読んでみると仕事や日常生活に活かせる考え方が学べると思います。
正直、僕は西野さん(人間性)に対して良い印象がなかったので、酷評レビューになるかと思っていました。
ところが、読み終えた今、すごく面白い内容だったので、色んな方に読んでほしいと思っています。
西野さんのことは嫌いになっても、西野さんのやっていることまで嫌いにならないでほしいと思います。
相方が生活保護不正受給していようが、しょっちゅう問題発言をして炎上していようが、「絵本」や「街づくり」に悪い要素は全然ないですから。
ビジネス書・自己啓発書は相当数読んできましたが、本書は西野さんの独特の切り口で書かれていて、非常に面白いのでオススメです。
特にアンチ西野の方にこそ読んでみてほしいですね。西野さんの印象が変わるかもしれませんよ。
打倒ウォルト・ディズニーに期待大、ドキドキしてます!