まいど、おおきに!
無類の読書好き、なまけタイガーです。
僕は、仕事がデキる人=適したリーダーではないと考えている。リーダーになるには素質が必要だ。
部下としてはデキる社員だったとしても、上司やリーダーになった途端に全然力を発揮できない方も珍しくないからだ。
また、僕の職場では、圧倒的に実力がある方が、まったく慕われず一番嫌われているなんてことがあった。
能力があるだけではダメなのだ。
「ついていきたいと思われるリーダー」には、いったいどんな要素が必要なのだろうか。
数々の企業でリーダーを務めてきた著者の考え方が気になったので、本書を読んでみた。
ついていきたいと思われるリーダーになる51の考え方 岩田松雄【2012】
著者 岩田松雄
は、元、タカラの常務取締役、アトラス、ザ・ボディショップ、スターバックスでCEOを務めた方だ。
※CEOは最高経営責任者のこと(Chief Exective Officer)
リーダーや社長は、強いリーダーシップをもち、俺についてこいというタイプでなくても、頑張れば誰でもなれる。
著者は、まったくそういうタイプでないが、気が付いたら周りの人たちに推されて社長になっていたそうだ。
これは、すごいことだ。自ら、リーダーになろうとせず、周りの方に推されてなったということは、真のリーダーと言えるのではないだろうか。
今まで読んだリーダーシップの本に比べると、違った切り口で語られている。
ついていきたいと思われるリーダーに必要な要素は、本当に多いのだなと感じさせる良書だった。
印象に残った部分
①カリスマ性より謙虚さ
多くの人々は、リーダーと言うと、カリスマ的な力でリーダーシップを発揮しているというイメージがある。
著者は、カリスマリーダーにはおそらくなれないと考え、謙虚さをもった人格的に優れたリーダーを目指すことにしたという。
【我こそはリーダーだなどと思わなくていいし、示さなくてもいいのです。自分で自分を修めようと努力し、自分でコツコツ頑張って自分を高めていくと、まわりから推されてリーダになっていくのです。】
これが、ついていきたいと思われるための第一歩になる。
②部下は3日で上司を見極める
著者は、部下との関係を良好にするため、積極的にコミュニケーションをとるようにしているとのこと。
ここでいうコミュニケーションとは
- 部下の話を聞いてあげる(メモをとりながら)
- リーダーの態度そのものを見せ、メッセージとして送る
【部下は三日で上司を見極める。上司は部下を見極めるには三年かかる。部下は上司をしっかりみています。そのくらい見られていることを、リーダーはしっかり肝に銘じなければなりません】
【部下は一緒に目標に向かっていく仲間なのです。ならば、一緒にミッションから考えればいい一緒にどうすればいいか、考えればいい。話を聞いてみるべきだと思うのです。】
【何よりいけないのが、関心を持たないこと。興味を持たれていない、関心を持たれていない、というのが、部下としては一番辛いことなのす。】
一方的に「こうしていくぞ!」と指示ばかりしているリーダーでは、部下とも信頼関係が作りにくい。
部下とのコミュニケーションは、雑談に限ったことではなく、リーダーの姿勢を見せること、部下と積極的に意見交換をすることなどから行われる。
ポジションが上がっていくと、どんどん若手との関わりが少なくなる傾向にある。
ちょっとした挨拶や声掛けが大きな効果に繋がってくるのだろう。
③リーダーに絶対に欠かせないものは【人間力】
経済学者のケインズは「to do good」より「to be good」の方が大事であるという言葉を残している。
ただ仕事で成果を上げるだけなら「to do good」でいい。
ついていきたいと思われるためには「to be good」を目指すべきだということ。
当たり前の話であるけれど、それが難しいから仕事はデキるのにリーダーとしては機能しない人がいるのだろう。
「この人についていきたい」「この人のために」と部下に思ってもらうためには人間力が必要になる。
【まだまだ自分は未完だと認識し、未完だからこそ努力しなければいけないと思う。そういう姿勢を持っているからこそ、常に成長が続いていきます。】
【最初から優れた人格の持ち主はいません。ただ、優れた人格の持ち主になろうと努力する人はいます。そういう人たちこそ、周囲から人格者だと評価される人ではないかと私は思っています。】
④リーダーが絶対に言ってはいけないこと
【「俺はイイと思ったんだけど、上がダメだと言うんだよ】
リーダーがこれを言ってしまうと、部下はリーダーを信頼することができない。
卑怯な責任逃れ発言をするリーダーにはついていきたくないと思われるうえ、「何のためのリーダーなのか」ということになってしまう。
状況によっては、どうしても仕方ないこともあるだろう。しかし、この問題は、きちんと説明していないというところだ。
どうしてそうなったのか、どうして会社として提案が受け入れられなかったのか、どうして社長はそういう決定をしたのか。
リーダーとしてWhyの部分をしっかり説明できなければならないということだ。
⑤ついていきたいと思われる魔法の口癖
部下の多くが抱える悩みはポジティブなことよりも、ネガティブなことが多い。だからこそ、この魔法の言葉が有効になる。
【「何か困ったことはない?」】
部下は上司に相談しにくいものだが、上司の方から頻繁に声をかけてもらえれば、相談しやすい環境が作られる。
部下の困ったことは、解決していない(できない)から困っているのだ。
その困っていることを解決するには権限が必要になる場合がある。
例えば、ヒト、モノ、カネを動かす、または誰かに解決を依頼する、もしくは自ら動く。
部下には難しくても、リーダーだからこそ解決できることもある。
見事、解決出来ればついていきたいと思われるリーダーの評価を得られるという。
自分で解決できない難問の時は、それこそ自分の上司に相談して解決できるように働きかければ良いのだ。
この方法は、手間は増えるかもしれないが、確実に部下との関係性は良好になり、仕事の循環も良くなる方法と言える。
まとめ
人によって、理想のリーダー像は様々だ。職場のカラーによっても、変わってくるものだろう。
本書を読む前は、仕事ができ、かつ人を引っ張っていけるだけの力がなければリーダーとして機能しないと考えていた。
しかし、本書を読んでみると、部下に信頼されること、いかに真摯な態度を部下に見せられるかが重要だと思わされた。
著者は、非常に謙虚な物言いで、ついていきたいと思われるリーダー像について語っている。
著者のような、なんでも相談しやすい一緒に頑張っていきたいと思えるリーダーを目指したいものだ。
リーダーはカリスマ性があって、カッコいいものだ。そういった概念を壊す、素晴らしい良書だった。