書評64冊目:人生を動かす仕事の楽しみ方~才能よりも大切な「気づく力」新津春子
無類の掃除好き、なまけタイガーです!
以前、プロフェッショナル仕事の流儀にも出演されていた清掃のカリスマ・プロフェッショナルの新津氏が本を出されていました。
なかなか気になるタイトルに惹かれ、早速買って読んでみました。
著者 新津春子氏
27歳で「全国ビルクリーニング技能競技会」で優勝 2013年、2014年、2016年には、羽田空港が「世界一清潔な空港」(英・スカイトラックス社のワールド・エアポート・アワーズ)に選ばれる。羽田空港は、その後2017年にも同賞を受賞。
「プロフェッショナル 仕事の流儀」(NHK)に3度出演!
清掃のプロフェッショナル・カリスマ的存在。
もともと清掃の仕事はお金のため、生きていくため、コレしかできなかったから始めたと言う。
最初は好き・嫌いや楽しいという感覚すらなかったそうです。
しかし、著者のモットーである「生きている以上は楽しく過ごしたい」という考えのもと仕事が楽しくなる方法や楽になる工夫を考え続けてきた結果、世界一の評価をしてもらえるまでになった。
プロフェッショナル仕事の流儀でも紹介されていましたが、やはり考え方がプロだなと感じました。
本書には、著者がいかにして仕事にやりがい・楽しさを感じ、結果を出していけるようになっていったかのプロセスが丁寧に書かれています。
掃除技術に関することも少し書かれていますが、どのように仕事に向き合い、どのようにして仕事にやりがいや楽しみを見出すかというところがズバ抜けているなと感じました。
これぞプロフェッショナルという姿ですね。
人生を動かす仕事の楽しみ方~才能よりも大切な「気づく力」
あなただけにそっと教える要チェックポイント
①やさしさをもつ
27歳の時に全国ビルクリーニング技能競技会に挑戦し、予選で1位のつもりが2位でショックを受けたそうです。
当時の信頼していた上司から「あなたには“やさしさ”が足りていないのではないでしょうか?」と言われてから、考え方が変わったそうです。
上司の方が言った言葉
1.「使っている道具のことを考えたことがあるか。道具を作った人のことや、作った人はどんな風に自分たちの作った道具を扱ってもらいたいと思っているか想像したことがあるか。」
2.「周りの人のことを考えて作業しているか。考えているかどうかは、表情や行動に自然と現れるものだ」
3.「スマイルが必要」
当時の著者は「きれいにさえしておけば、誰からも文句は言われない」から良いだろうと考えていたそうです。
確かに、清掃は1人で黙々と行う作業ですから、それでも良いと言えばいいのでしょう。実際、2位になれるほどの清掃技術はお持ちだったわけですから。
それでも、より良い高みを目指すためには必要なことだったということですね。
野球選手は専門に特注でバットやグローブを作ってもらっている人もいて、道具をすごく丁寧に扱う人が多いそうですよ。
先日は、錦織選手がテニスラケットを叩きつけて壊したことが批判されていましたが・・・
日々、使う道具にも“やさしさ”をもっていきたいと思いました。
②積極的に観察して気づく
空港内での清掃業務を行ううえで、利用客の観察は一切していなかったそうです。
実際に観察してみると色々な気づきがあり、利用客とコミュニケーションをとるようになったり、より掃除する必要がある部位がみつかったり。
これも“やさしさ”を考えた結果として始めたことで、観察をして気づくことが増えた結果、仕事だけでなく生きることも楽しくなっていったそうです。
ただ、言われたことをやっているだけでは気づけないことってたくさんありますね。仕事に限ったことではありませんが、観ようとするから観えるという部分と言えます。
③考え方を変えると仕事が楽しくなる
羽田空港は1日の利用者が20万人。
それだけの人が利用するため、清掃したそばから汚されてしまうこともあるそうです。
そんな時に「あぁ、また汚された」と残念な気持ちになってしまうと、それは顔に現れてしまいます。寂しい顔になったり、怒った顔になったり。
そこで著者が行ったことは物事の見方を変えるというもの。
汚れを見つけたら
「汚れてきたね。この汚れ、私に落とせるかな。洗剤や道具は何を使えば良いかな」
「そもそも私が清掃員でいられるのは、お客様が汚してくれるからこそ。むしろ感謝しなくっちゃいけないわ」
このようにポジティブに前向きにとらえるようになっていったところ、楽しくなってきたそうです。
今では、「いつもイキイキ仕事をしてますよね」と声をかけてもらえるようになったとのこと。
何事も考え方次第で取り組む姿勢は変わってくるものですよね。
④あいさつに一言加えるだけでうまくいく
“やさしさ”の大切さに気づいてから、挨拶に一言加えて積極的に人と関わるようにしている。
あいさつに一言加えることにより「いつも見ているよ。いつも気にかけているよ」と知ってもらえる効果があります。
これにより、困ったときにすぐに助けてもらえるしギスギスすることも少なくなるという。
仕事は仕事と割り切った関係でいる方もいますが、だからと言って仲悪く過ごす必要はありませんからね。これは僕も実践していましたが、すごく良い方法だと感じます。
⑤とにかく関心をもつようにする
【最近の若い人を指導していて気になるのが、「見たことがないものはなんでも見てやろう」という気持ちが感じられないこと】
【興味や関心があれば、もっと知ってやろうと思うでしょうし、知りたいと思うから色々なことに気づけるはずなんです。ただ、目の前のことを言われた通りにやっていても、仕事は楽しくならないと思います。】
「最近の若い人」という点だけ考えが違いますが、おっしゃる通りだと感じます。
ただ、言われたことをこなしているだけでは、楽しさ・やりがいなんて見つけられないと思います。
【1つ気が付くと、それが2つ、3つ、4つとどんどんと拡がっていって、たくさんのものに興味が持てるようになります。】
⑥目標がないなら目の前のことを一生懸命やれ
講演会で「どうすれば目標を持てるのか」「やる気の持ち方」を聞かれることが多いそう。
著者は「とりあえず、今目の前のことを一生懸命にやってみたらどうでしょう」
「自分を楽させる方法、つまり工夫を考えてみてください」と提案している。
結局のところ、工夫をしてみてもすぐに結果は出ないかもしれません。
それでも、目の前のことを一生懸命にやってみたら何かしら気づくことがあったり改善ポイントが見つかったりするものです。
そうしたら、自然と目標ができたりやる気が湧いて来たりするものだと思います。
⑦工夫次第で退屈はなくなる
毎日同じことの繰り返し作業をしているとどうしても飽きて嫌になってきてしまう。
著者は、工夫をして退屈しないようにしていた。
例)毎日のゴミ回収
日によってルートを変えていたそうです。
昨日は右回りだったから、今日は左回りで行う。その他は、よりゴミ回収をより効率的に行える方法を考えて実践してを繰り返していたそうです。
単調でつまらない単純作業であっても、色々と工夫する余地があり、工夫をしているからこそ気づきもあり「次は何をしようかな」と意欲が湧いてくるものだという。
自分をいかにして飽きさせないかという点で考えても、工夫や気づくことは重要なポイントになりますね。
まとめ
仕事をする→評価・感謝をされる→もっと頑張る→評価される・・・この繰り返しで、仕事は今よりずっと楽しくできる。
著者はこのサイクルが回るようになって、仕事がドンドン楽しく、好きになっていったと言います。
これは仕事に限った話ではないかも知れませんが、この考え方は人生において非常に重要になると感じます。
同じ仕事をこなすにしても、嫌々やりたくないと思いながら時間の経過を待つような仕事の仕方はしたくないですね。
新津氏のマインドを見習って、退屈な作業だとしても楽しく、やりがいを見つけ、感じながら仕事をしていきたいものです。
今の仕事がつまらなくて嫌だと感じている方にとって背中を押してもらえる本になりそうです。
世界一の清掃をする新津氏の仕事術を知りたい方は、本書を要チェックや